憩室炎・憩室出血とは大腸憩室とは、大腸の壁の一部が外側に袋状に突出した状態を指します。憩室自体は無症状であることが多く、加齢とともに増加する傾向があります。この憩室に炎症が起こった状態を憩室炎、憩室から出血が起こった状態を憩室出血と呼びます。憩室炎の主な症状は腹痛(特に下腹部)、発熱、悪心などで、重症化すると膿瘍形成や穿孔を起こすことがあります。憩室出血は突然の大量の血便として現れることが多く、高齢者の下部消化管出血の重要な原因の一つです。憩室炎・憩室出血は適切な対応が重要憩室炎は軽症であれば抗菌薬の内服と食事制限で改善することが多いですが、重症例では入院治療(絶食、点滴、抗菌薬の静脈投与)が必要となります。膿瘍形成や穿孔を伴う場合には、ドレナージや外科手術が検討されることもあります。憩室出血は多くの場合自然に止血しますが、出血が続く場合や大量出血の場合には、大腸内視鏡による止血処置や血管造影による塞栓術、まれに外科手術が必要となることがあります。激痛と出血、2つの顔を持つ加齢とともに増える「腸のくぼみ」「大腸憩室(だいちょうけいしつ)」とは、大腸の壁の一部が外側に飛び出し、小さな「ポケット(くぼみ)」ができてしまった状態のことです。 加齢により腸の壁が弱くなったり、便秘で腸内の圧力が上がったりすることで形成されますが、ポケットがあること自体は病気ではありません。 しかし、このポケットに便が詰まって細菌感染を起こすと「憩室炎(激痛)」になり、ポケットの底にある血管が切れると「憩室出血(下血)」になります。これらは「お腹の風邪」や「痔」とは次元の違う、入院が必要になることも多い消化器のトラブルです。「痛み」と「血」の危険なサイン(レッドフラグ)憩室のトラブルは、炎症か出血かで症状が全く異なります。以下の特徴を知っておくことが、緊急時の正しい判断につながります。右(または左)下腹部の激痛と発熱(憩室炎): 日本人は大腸の右側(上行結腸)にポケットができやすいため、「右下のお腹(盲腸のような場所)」が痛むことが多いのが特徴です。歩くと響くような痛みや発熱を伴います。突然の大量下血(憩室出血): 最大の特徴は「お腹は痛くないのに、突然大量の血が出る」ことです。便意を感じてトイレに行くと、便器が真っ赤になるほどの鮮血が出て、貧血で倒れてしまうこともあります。お腹がカチカチに硬い: 憩室炎が悪化して腸に穴が開き(穿孔)、腹膜炎を起こしている緊急事態です。「絶食」で休ませるか、「カメラ」で止めるか憩室炎の疑い(腹痛・発熱)がある場合は、無理に食事をとらず、すぐに消化器内科を受診してください。 炎症の診断には、腸を刺激しないよう「CT検査」が第一選択です。軽症なら抗生物質と「腸の安静(絶食・点滴)」で治りますが、無理をすると手術が必要になることもあります。 一方、憩室出血の場合は、出血源を特定し止血するために「大腸内視鏡検査」を行います。多くは自然に止まりますが、再発しやすいため、検査で「他の病気(癌など)ではない」ことを確認しつつ、慎重に管理する必要があります。 治った後は、再発予防のために「食物繊維」を摂り、便秘を防ぐことが、腸のポケットを守る一番の秘訣です。