虚血性大腸炎とは虚血性大腸炎とは、大腸への血流が一時的に低下することによって、大腸粘膜に炎症や壊死が生じる疾患です。主に左側結腸(下行結腸からS状結腸)に発生することが多く、突然の腹痛(特に左下腹部)、下痢、血便が三大症状として知られています。高齢者に多くみられますが、若年者でも発症することがあります。便秘、脱水、動脈硬化、心疾患、糖尿病、過度の運動、特定の薬剤の使用などがリスク因子として挙げられます。虚血性大腸炎は多くの場合保存的治療で改善する虚血性大腸炎は、一過性型、狭窄型、壊疽型の3つに分類されます。最も頻度が高い一過性型は、腸管の血流が自然に回復することで、多くの場合1〜2週間程度で改善します。治療は絶食、補液、腸管安静を基本とした保存的治療が中心となります。狭窄型は炎症の治癒過程で腸管が狭くなり、通過障害を起こすことがあります。壊疽型は最も重症で、腸管壁の全層が壊死に陥り、緊急手術が必要となることがありますが、頻度は低いとされています。便秘が引き金になる虚血性大腸炎腸の血流が一時的にストップする「腸の狭心症」「トイレでいきんだ直後に、左のお腹が激しく痛くなり、その後に真っ赤な血が出た」。 これが「虚血性大腸炎」の典型的な発症パターンです。 心臓の血管が詰まるのが心筋梗塞であるように、これは大腸の血管が一時的に詰まり、粘膜に血液(酸素)が行かなくなることで起こる、いわば「腸の酸欠・窒息」状態です。 動脈硬化がある高齢者に多いですが、若い方でも「ひどい便秘」で強くいきんだり、脱水状態になったりすると、腸の血管がけいれんして発症することがあります。特に、血管の構造上、血流が悪くなりやすい「左側の大腸(下行〜S状結腸)」で起こるため、「左下腹部の痛み」が特徴です。典型的な「3ステップ」と危険なサイン(レッドフラグ)この病気は、症状が現れる順番に大きな特徴があります。突然の激しい腹痛(左側が多い)下痢(最初は便が出る)鮮血便(真っ赤な血が出る)多くは「一過性型」といって、腸を休めれば自然に治りますが、中には血流が完全に途絶えて腸が腐ってしまう「壊死(えし)型」という恐ろしいタイプも存在します。以下の症状は、緊急手術が必要なサインかもしれません。右側まで痛む: 本来起こりにくい右側の大腸まで範囲が広がっている場合、重症度が高い可能性があります。腹痛が治まらない・お腹が硬い: 時間が経っても痛みが引かず、お腹を押すと板のように硬い場合は、腸に穴が開いている(穿孔)危険があります。冷や汗・血圧低下: ショック状態になりかけています。救急車が必要です。カメラで診断し、腸を休ませる疑わしい症状が出たら、食事は一切摂らず(絶食)、すぐに消化器内科を受診してください。 診断には「CT検査」や「大腸内視鏡検査(大腸カメラ)」を用います。内視鏡で見ると、血流が途絶えた部分だけが縦長にただれている(縦走潰瘍)特徴的な所見が見られ、癌やO-157などの感染症と区別がつきます。 治療の基本は、点滴をしながら数日間「腸を空っぽにして休ませる」ことです。軽症ならこれだけで嘘のように回復します。再発を防ぐには、血管を詰まらせないための「水分補給」と、いきまないための「便秘解消」が何よりの予防薬となります。