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お知らせ&コラム

胃カメラ(胃内視鏡検査)とは


胃内視鏡検査、別名「胃カメラ」


胃内視鏡検査とは、咽頭から食道、胃、十二指腸の途中までを観察、治療するために行われる検査で、正式には上部消化管内視鏡検査といいます。昔からの習慣で「胃カメラ」と呼ばれることも多いです。これは内視鏡が現在のようにテレビ画面で映像を出力することができなかった時代に、カメラのように写真を撮って検査後に現像していたことに由来します。十二指腸の奥にある胆管、膵管に造影剤を入れて画像を撮影するために使用される胆膵内視鏡も、広い意味では上部消化管内視鏡に含まれます。




胃カメラの形状


胃内視鏡は長さ約1m、太さ10㎜ほどの細長い管状の形をしていて、医師の手元には先端を曲げるレバーや空気の出し入れをするスイッチ、薬剤や水等を入れる穴があります。




経口内視鏡と経鼻内視鏡


胃内視鏡には口から入れる経口内視鏡と鼻から入れる経鼻内視鏡があります。経口内視鏡のメリットとしては内視鏡の操作性が良く、拡大観察機能がついている機種があるなどが挙げられ、より詳細な観察に向いていると言えます。経鼻内視鏡のメリットとしては、経口内視鏡に比べて約半分くらいの太さで、挿入時の嘔吐感やつらさが軽いことなどがあります。また検査中に医師と会話もできます。注意点として鼻の奥が狭い方は痛みが出ることがあり、鼻出血のリスクもあります。また経口内視鏡に比べて大きな病気を切除することができない、などのデメリットもあります。以前の経鼻内視鏡は左右に曲がらない、画像の質が劣るなどの問題点がありましたが、技術の進歩により現在では経口内視鏡とほぼ変わらない質の検査ができるようになってきています。




胃カメラはどんな時に行う検査なのか


医師は食道、胃、十二指腸の病気を疑う症状があるときに胃内視鏡検査を行います。例えば腹痛(特にみぞおち付近)、吐血、吐き気、食欲低下、体重減少、貧血などがあるときに検査を行います。また健康診断の上部消化管造影検査(いわゆるバリウム検査)で異常所見があった場合も胃内視鏡検査を行います。




胃潰瘍・十二指腸潰瘍とピロリ菌


胃、十二指腸の病気と深い関わりのある細菌としてピロリ菌(Helicobacter Pylori)があります。もともと胃の内部は強い酸性の環境であるため、細菌は生息できないという説が有力でした。しかし1979年にオーストラリアの病理学者であるJ. R. Warrenが胃粘膜に生息するらせん状の細菌を発見し、その後同僚であるB. J. Marshallと共に胃炎、胃潰瘍の原因であることを証明しました。現在ではピロリ菌は胃癌、MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病など様々な病気の原因の一つであることが分かっています。ちなみにMarshallはピロリ菌と胃炎の因果関係を証明するために、慢性胃潰瘍患者から取り出したピロリ菌を培養し、自分で飲み込んだそうです。すると一週間後に激しい吐き気と嘔吐が出現し、内視鏡で胃炎になったことが確認できたため、見事この因果関係の仮説を立証することができました。現在では抗生剤二種類と胃薬一種類を一週間内服する除菌治療が確立されています。Marshallも除菌治療を行ったそうです。


健康保険を用いてピロリ菌の検査と治療を行うには、まず胃内視鏡検査を行い、慢性胃炎や萎縮性胃炎などがあることを確認することが必須となります。つまり胃内視鏡検査を行わないでピロリ菌の検査を行う場合は、検査料は100%自費となります。また自費で検査を行った場合は除菌治療も自費診療となります。




胃カメラの前日と当日検査前


胃内視鏡検査を行う場合は、前日の夕食以降は固形の食べ物の摂取は控えます。当日は検査終了まで食事はもちろん、水とお茶以外の水分(ジュースや牛乳など)も禁止となります。持病があって内服薬を服用している方は事前に主治医に相談しましょう。検査直前に喉の麻酔や胃の中を観察しやすくする液状の薬を内服してから検査開始となります。




胃カメラの流れ


口または鼻から内視鏡を挿入すると、のどにある声帯(声を出す部分)が見えてきます。声帯の後ろ側に食道への通り道があり、普段は閉じていますが飲み込む動作を行う時に開きます。この狭い部分を内視鏡が通るときが嘔吐感や異物感が強く、一番つらいところです。そこを通り過ぎると食道が見えてきます。


食道は長い筒状の臓器で、中の空間は広がったりつぶれたりします。食道を観察しながら先に進むと、食道と胃のつなぎ目である噴門という部分に到達します。逆流性食道炎になると、この部分の粘膜が胃酸でただれて痛みや胸やけを起こします。


噴門を超えると急に広い空間にでます。ここが胃です。胃は袋状の臓器で、中はカメラの向きによって観察しづらい場所がいくつもあるので内視鏡を曲げたり、反転させたりして観察漏れがないようにします。この時胃に空気を入れて広げて観察しやすくするため、お腹が張ったような感じがでることがあります。


胃の出口に近づくと幽門と呼ばれる胃と十二指腸のつなぎ目があります。幽門に入ると十二指腸に入ります。十二指腸をさらに進むと壁のわきに小さな突起が見えます。この突起は十二指腸乳頭(またはファーター乳頭)といって胆管、膵管へと繋がる入り口です。ここまで観察したらあとは戻りながら再確認をしていきます。


内視鏡検査は入っていくときに比べて出ていくときの方がずっと楽です。引き返してくるまでがんばりましょう。もし病気を疑う部分を見つけた場合は、内視鏡の中に鉗子と呼ばれる器具を通して組織の一部を採取し、顕微鏡の検査に提出することがあります。


胃内視鏡検査の合併症としてまれに粘膜からの出血、穿孔、局所麻酔薬によるアレルギー反応などが生じることがあります。

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