がんは、生涯で日本人の2人に1人が発症するといわれています。今回は、内視鏡検査の目的 や、がんを予防する検査方法などをご説明します。
内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)について
内視鏡検査とは、先端に小型のカメラを内蔵した細長い管を口や肛門から挿入し、咽頭や食道、 胃や十二指腸、大腸などを観察し、場合によっては治療するものです。
内視鏡検査は、病気の疑いがある細胞や組織を採取する細胞診や生検を行うことが可能です。 また、細胞や組織の状態によっては、内視鏡によってレーザー治療や粘膜切除を行うことがあり ます。観察する部位や種類により方法が異なるため、検査を受ける方は十分な説明を受けること が大切です。
内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)の目的とは
内視鏡検査は、咽頭や食道、胃や十二指腸、大腸などの消化器の病気の有無や重症度、種類、 良性か悪性かを診断することが目的とされています。内視鏡検査は、とても小さな癌を早い段階 で発見することが可能とされ、内視鏡による切除を行うこともあります。
がんについて
がんは、身体の組織や臓器の中のあらゆるところに発生する可能性があります。正常細胞は必 要に応じて増殖し、状況によって増殖をストップするとされますが、がん細胞の場合は無秩序に 増殖を繰り返し、細胞のかたまりである腫瘍を作ることがあります。がんは、なんらかにより遺伝 子が傷つくことによって生じるとされ、人から人へ移るものではないと考えられています。
がんの原因
がんの原因は、大きくわけて、生活習慣によるものと感染症によるものの2種類があります。日本 では約25%が感染症に起因するものとされ、例としてピロリ菌による胃がん、パピローマウイル スによる子宮頸がん、肝炎ウイルスによる肝臓がんが挙げられます。
がんの特徴
がんの特徴として、以下の3つが知られています。
自律性増殖
…無秩序に増え続け、止まることができません。
浸潤、転移
…周りへ広がっていく浸潤、身体のいたるところに移動する転移があります。
悪液質
…がんの組織は、正常細胞に必要な栄養を奪い取り、身体が弱くなるとされます。
良性腫瘍は隣接する周囲への増殖はしますが、浸潤や転移をしないといわれています。
がんの種類
がんの種類には、以下の3つが考えられます。
造血器にできるタイプ
…悪性リンパ腫、白血病などがあります。
皮細胞にできるタイプ
…咽頭がん、舌がん、肺がん、胃がん、大腸がん、子宮がん、卵巣が んなどがあり、「癌」と呼ばれています。
非上皮性細胞からできるタイプ
…脂肪肉腫、骨肉腫、平滑筋肉腫、血管肉腫などがあり、「肉 腫」と呼ばれています。
がんの予防とは
がんの予防には、一次予防と二次予防があります。
がんの一次予防
喫煙や過度の飲酒、運動不足などの生活習慣や環境を改善することによって、がんのリスクを 下げることをいいます。がんの原因を除去することによって、がんを根本的に予防する方法で す。
がんの二次予防
がんを早期発見し、早いうちから治療することによって、がんによる死亡を減少させることをいい ます。二次予防のためには、検診の受診率が高いこと、検診方法の質がよいことが必要とされて います。
がんを予防するための検査方法
がん検診は、「がんの疑いがある」、または、「がんの疑いがない」かを調べ、がんの疑いがある 場合には精密検査を受けるとされています。がん検診は、症状がない人を対象とし、がんの早期 発見と適切な治療によって、がんが原因の死亡を減少させることといわれています。
国が推奨しているがん検診は、胃がん検診・子宮頸がん検診・肺がん検診・乳がん検診・大腸が ん検診の5種類です。このうち、内視鏡検査に関係する検診は、以下の胃がん検診と大腸がん 検診の2つと考えられます。
胃がん検診
胃がんは、50歳代以降に発症する方が多い病気です。胃がん検診では、胃内視鏡検査と胃部X 線検査が推奨されています。胃内視鏡検査は、口や鼻から内視鏡を入れ、食道や胃、十二指腸 などを観察する検査です。場合によっては組織を採取して検査することもあります。胃部X線検査 は、バリウムと発泡剤を服用し、粘膜を観察する検査です。
大腸がん検診
大腸がん検診として、2日分の便を採取し、混ざっている微量の血液によって検査する便潜血検 査が推奨されています。便潜血検査で「異常あり」と判定を受けた場合、精密検査として、一般的 に大腸内視鏡検査や大腸CT検査などを行うとされています。
早期発見でがんを予防しよう
がんの二次予防は、早期発見・早期治療と考えられています。胃内視鏡検査、大腸内視鏡検査 は国が推奨する検診方法のひとつです。自治体から委託された医療機関で受けることができま すが、日程や費用などの詳しいことは各自治体により異なります。小さいうちに見つかるがんは 自覚症状がないとされるため、早めに検査し、がんを予防しましょう。またなんらかの症状がある 方は検診ではなく、医療機関を受診して適切な検査を受けるようにしましょう。
【参考】
(1)国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター .がんという病気について https://ganjoho.jp/public/knowledge/basic/index.html
(2)浅香正博.がんの予防はどこまで可能なのか?.学術の動向.2015,第6号,72-75. https://www.jstage.jst.go.jp/article/tits/20/6/20_6_72/_pdf
(3)島根大学医学部附属病院先端がん治療センター.がんを知る.
(4)厚生労働省健康局 がん・疾病対策課.「科学的な根拠に基づくがん予防・がん検診の充実」 の中間評価指標について
(5)国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター .がん検診について https://ganjoho.jp/public/pre_scr/screening/about_scr01.html
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